その7では安全側線用緊急防護装置(以下、EM)の応用例を見てみたいと思います。
安全側線自体は登場しないのでタイトル詐欺ですがご了承下さい。
EMは安全側線に車両が入線したこと(≒緊急事態)を付近の信号に伝えるために設置されています。
この仕組みを利用して駅構内や留置線の終端にも設置が進みました。
↑高架線上の行き止まりホームに設置されたEM
終端部は軌道スラブを設置せずにバラスト軌道となっています。
↓こちらは地下駅構内の行き止まりホームの先端。
第二種車止めのとの組み合わせは安全側線ではあまり見られません。
↓頭端式ホームの設置例。制走堤+第2種車止め+EM+枕木と厳戒態勢です。
ただEMはかなり古くに設置されたのか、塗装の劣化が進んでいます。
もしかしたら使用停止になったものがそのまま放置されているのかもしれません。
EMの手前に枕木を積むのはあまり一般的ではありませんので…
↓こちらは引き上げ線に設置されたEM。隣のミラーは走行列車確認用でしょうか?
このように留置線の両側に走行線がある場合、過走した列車が走行線に支障する恐れがあるためEMを設置することが多いようです。
↓第4種車止めとEMが合わせて使用されるのも引き上げ線や留置線ならでは
やはり本線に隣接する側線に設置されています。
ここからはイレギュラーな使い方
まずは脱線器と併用された例です。
左側のレールにちょこんと乗っかっているものが脱線器。この脱線器により脱輪した車体をEMに接触させるという仕組みです。走行車両と接触してはいけないので車両限界の外側に設置されています。
線形的に安全側線や脱線転轍器の使用が難しく、このような形になったと思われます。
脱線器については別記事でまとめる予定です。
下の写真は駅構内の留置線に設置されたEM。
やたら長い安全側線ではありません。その理由はEMの向きにあります。
寄ってみるとEMは分岐器に進入する車両に対して動作するように設置されていることが分かります。
安全側線の場合は逆に分岐器を通過した車両に対して動作するように設置します。
同様の例をもう一か所。
上下線からアプローチできる側線ですが、分岐器の根元付近にEMが設置されています。
こちらも寄ってみると側線から本線に進入する車両に対して動作するように設置されています。続けて車輪止めも設置されていることから留置車両の転動対策にEMを使用していることが分かります。
このような使い方の場合、車両を出し入れする際もEMを倒す必要がありますので、防護回路をどう処理しているのかは疑問です。入線時と出発時は防護回路を解除できるような仕組みが備わっているのでしょうか?
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