11月5日にAGT・鉄道ふれあい祭りの一環で三菱重工和田沖工場MIHARA試験センター(MTC)が一般開放されました。一般向けの開放は恐らく初めてではないかと思います。このイベントは14回三原浮城まつりに合わせた共同イベントで、三原駅前でもAGTのパレードなどが催されました。
MIHARA試験センターは日本初の総合交通システム検証施設として2014年に開設されました。
(MIHARAとはMultipurpose Integrated Highly-Advanced Railway Applicationsの略です)
鉄輪周回試験線の他、新交通システム(AGT)試験線や磁気浮上試験線(HSST)などがあります。
↓鉄輪周回試験線(テストトラック)
グランド全体がメイン会場になっています。ここからは鉄輪軌道の様子がよく観察できました。
メーカーのコンプライアンスに基づき試験設備や車両などについては撮影が禁止されています。
(例えば下の写真も芝生の外からの撮影はNG。当方も許可を得た範囲でのみ撮影しています)
試乗会に使用されるMIHARA-Linerと高速AGTは決められた場所でのみ撮影OKでした。
このイベントは三菱重工とJR西日本の共同開催ということで、会場内ではミニサンライズやミニ新幹線などが走っていました。そういえば三原駅でもヘッドマークの展示等をしていましたね。
会場に着くや否やMIHARA-Linerの乗車整理券の列に並びました。なんとか整理券は入手できましたが、高速AGTの乗車体験列にまで並ぶ時間がなく、乗降場から撮影するに留まりました。
試験車両とは思えないほど洗練されたデザインが素敵です。
本当はこれも乗ってみたかったんですけどね…。高速AGT向けの試験線は2016年の設備拡張に伴い建設されました。鉄輪試験線の内側を併走する約1.5kmのコースになっています。
MIHARA-Linerの乗車時間が迫ってきたのでバスで乗車ホーム付近まで移動します。
1両分弱とは言え立派なプラットホームが据え付けられていました。
MIHARA-Linerに使用されている車両は能勢電鉄1500系1554編成を譲渡したもので、GENKI君の愛称が付けられています。1554の連結面側のクーラーは試験用に交換されていますね。
車内は一部のドアエンジンが交換されている程度で、能勢電時代から変わっていないようでした。
乗車体験の車掌はJR西日本の社員さんが担当していました。三菱重工の試験線を元阪急の車両が走り、JR西日本が車掌を務める乗車体験…何だかすごいコラボが実現しています。
広告スペースにはMTCの線形概要が掲示されていました。鉄輪軌道のテストトラックは1周約3.2kmの周回軌道で、標準軌1435mmと狭軌1067mmの3線軌条になっているのが特徴です。
さらに下図のオレンジ色の区間に関しては欧州規格EN 54E1のロングレールが採用されており、海外市場に対する意欲的な姿勢が伺えます。目を閉じれば欧州の乗り心地でしょうか(笑)
車内での撮影に関しても、建物や留置車両は撮影をしないようにとの注意喚起がありました。
そこで添乗していた三菱重工の社員さんに線路は大丈夫ですか?と確認してみると、OKとの返事がもらえましたので運転台にかぶりつきでスタンバイしました。
試験線をつぶさに観察することは今回の最大の目的とも言えます。
54E1レールは1m当たり54kgなので、JIS 50Tレール(1m当たり53kg)に近いサイズです。
先ほど3線軌条と言いましたが、枕木をよく見ると共通レールの内側にも固定金具あります。
実はこの枕木は東南アジアや欧州などで採用されているメーターゲージ(軌間1000mm)にも対応しているのです。メーターゲージ用のレールが設置された場合、4線式トリプルゲージという国内の走行線としては唯一の軌道になります。(車両工場等では共通レールを1本に集約した4線式トリプルゲージが存在しますが、ガントレットのように互い違いに配置したタイプはなかったはず)
MTCのパンフに盛土勾配軌道区間はバラスト+スラブ軌道と書かれていまして、4線軌対応のスラブ軌道はどんなものかと気になっていましたがその実態はマクラギ直結軌道でした。
(実はパンフにもそう記載してある箇所がありました)
勾配曲線は50‰&R120mということで試験線らしい走りを体感できます。
よく見てみると1段高いコンクリート盤が等間隔で分割されていることに気が付きました。
ひょっとしたら緩衝材を挟んだ軌道スラブの上にマクラギが直結されているのかもしれません
工場裏側は沼田川に隣接しているためテストトラックからの車窓はなかなかです。
工場裏側の3割程の区間はJIS 50Nの定尺レールが採用されており、引込線との合流部は3線軌条の6番片開き分岐器が設置されていました。
分岐側双方が3線の完全なタイプは国内でも珍しく、現在は工場や保線基地にしか設置されていないため、その上を走行する事ができたのはかなり貴重な体験かと思います。
電気転轍器1台ごとに転轍器標識が設置されています。MTC開設当初は狭軌のみ乗り越し分岐器だったそうですが、国内外双方の需要に対応するため2016年に6月に導入されたようです。
2周目は約80km/hで走行し、GENKI君のフルパワーを体感しました。
本線ピットは現時点では4線軌に対応していないようですね。
と言うより、4線軌にしたら作業員の入れるスペースがなくなってしまいそうです。
ちなみに電化方式は架空電車線方式で、DC600V/750V/1500Vの各種電圧を印加出来ます。
つまるところ、国内の殆どの直流車両が走行できるハイスペック軌道ということになります。
川崎重工の播磨工場にもLRT向けの播磨実験線があり、こちらもいつか見学してみたいですね。
帰りは新幹線で帰京しますが、その前に在来線乗り場で呉線の0キロポストを撮影。
そういえば在来線も新幹線もスラブ軌道の駅構内って三原くらいしか思いあたりませんな
三連休の最終日だということをすっかり忘れてまして、自由席は失敗でした。
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